ホーム創造主訳聖書創造主訳聖書刊行会>「創造主訳聖書」の出版によせて

「創造主訳聖書」の出版によせて

日本における聖書翻訳の歴史

 わが国に聖書の教えが伝わったのは、カトリックが1549(天分18)年、プロテスタントは1859(安政6)年でした。以来、聖書の和訳史は、紆余曲折はあるものの、1887(明治20)年に『明治元訳聖書』が作られ、早くから改訳を希望する声があがって、1917(大正6)年に『改訳・新約聖書』が刊行され、大正改訳とも言われました。第二次大戦後、1954(昭和29)年には、『口語・新約聖書』が、引き続き1955年には旧新約聖書をあわせた『口語訳聖書』が刊行されました。その後、1970年には『新改訳聖書』が刊行され、1984(昭和62)年にはカトリック・プロテスタントの協働による『新共同訳聖書』の刊行がなされました。このほかにも、公私にわたる旧・新約聖書の訳本が出版されてきました。

 

創造主訳聖書の出版理由~聖書の創造主は一般的日本人の「神」概念ではない~

 今日に至るも、夫々の聖書の改訳が随時試みられています。その理由は、異なる言語において、二個の言葉が同一の形態において、同一量の意義を含有し、同一様の連想を明示する事が至難の業であるからです。とりわけ訳語中の「神」について、古くから適訳か否か論じられてきました。日本において「神」というとき、それは一般に八百万の神や汎神論の神であって、聖書の創造主ではありません。日本において、人口の99パーセントはキリスト者ではなく、「神は愛である」と語りかけても、相手の思考する神は聖書の創造主・唯一の全能者ではなく、同語異議のかみ合わない会話となる場合が多いのです。

 2000(平成12)年7月3日の朝日新聞に、「『ゴッド』の誤訳が原因?」の見出しによる菅原伸郎氏の一文が掲載されましたが、その中に次のような記載がありました。「静岡県のある宮司が日本人の神観念を説明し、このように指摘した。『明治以前の日本では、神道の神、仏教の仏、キリスト教のデウスは区別されていたが、プロテスタントが「ゴッド」を「神」と訳して怪しくなった。カトリックは「天主」を使っていたがプロテスタントに譲歩した。その結果、話がかみ合わないばかりか、誤解に拍車がかかった』。かといって、神社本庁公認の『神』の定義があるわけではない。・・・日本キリスト教団が97年に改訂した『讃美歌21』は、『あめつちのかみより たすけぞわれにきたる』の歌詞を『天と地を造られた神のもとから来る』にすることなどしているが、『神』自体は変えていない・・・」。

 そこで委員会は、和訳後の中でも信仰生活の基軸ともなる「神」という言葉を「創造主」と翻訳することにより、聖書理解を容易にするだけでなく、更に直截に聖書の真理を伝えることに寄与できるのではないかとの確信に至りました。

 

現代訳聖書の選択

 どの聖書を用いるかについては、『現代訳聖書』を適用する事に決めました。『現代訳聖書』は、尾山令仁牧師による聖書原文からの翻訳です。尾山牧師は、この創造主訳聖書の主旨に賛同され、全面的に協力してくださいました。その『現代訳聖書』の翻訳原則は、Dynamic Equivalence(ダイナミック・エクイバレンス)に基づくもので、現代の翻訳学の権威者の一人であるユージン・A・ナイダ教授の言う「ヒエロニムスの翻訳態度は、古代の翻訳家達のだれよりも、恐らくは最も系統だっており、訓練されたものの一つだった。彼はよく考え抜かれた原則に従った。その原則を彼ははばかることなく公言し、弁護し、極めてあからさまに『自分は意味を意味にうつすのであって、単語を単語にうつすのではない』と述べた」(『翻訳学序説』成瀬武史 開文社出版)ことに依拠しています。

 

創造主が崇められるために

 現代訳聖書刊行会の了解を得て出版されるこの『創造主訳聖書』が、「聖書は誤りなき創造主の言葉であり、また信仰と生活の唯一の規範である」との信仰告白を明確にしつつ、聖書の真理の普及に大いに用いられ、創造主が崇められることを心から祈ります。


創造主訳聖書刊行会 長谷川義信

                                                        

長谷川義信(はせがわ・よしのぶ)

1940年佐渡市出身。16歳のとき、スイス(同盟伝道団)から派遣された宣教師に導かれてクリスチャンとなる。聖契神学校卒業。神学校時代より開拓していた寒川に、東京オリンピック開催と同じ年1964年に最初の会堂が建ち、初代牧師として就任、今日に至る。その間、聖契神学校の教師として37年間奉職。現在は牧師の働きと並行して「世界食糧デー湘南大会」実行委員長として、世界の飢餓撲滅のため、草の根運動の拡大と浸透に励んでいる。

PDJ ロゴス出版社

PDJ ロゴス出版社は、『現代訳聖書』『人生を導く5つの目的』『セレブレイト・リカバリー・シリーズ』などのキリスト教関連書籍および教材を発行している出版社です。

カタログ閲覧

代表ブログ

書店のお客様は下記まで

お問い合わせください。

■日本キリスト教書販売㈱

TEL 03-3260-5670